2025年7月に、プレジデントオンラインで反響の大きかった人気記事ベスト3をお送りします。ビジネス部門の第3位は――。
▼第1位 「社員15人の石けん工場」が100億円企業に…後継ぎの30歳元商社マンが「下請け卒業」のため最初にやったこと
▼第2位 「ささやき女将の記者会見」で全てを失った…船場吉兆の"次男坊"が「6畳のワンルーム」から起こした復活劇
▼第3位 なぜかフランスの若者から人気に火が付いた…社員でさえ予想できなかったシチズンの"爆売れ"腕時計の正体
過去10年で最も売れたシチズンの腕時計
今年で創業101年となる国内の時計メーカーを代表するシチズンが、近年、若者に人気なのをご存じだろうか。
若者を巡ってはクルマを中心にさまざまな“○○離れ”がささやかれており、腕時計もそのひとつ。しかしその実態は異なっており、実はラグジュアリーブランドを中心に好調なのだ。中でも人気なのが「機械式」の腕時計という。
クオーツ式の腕時計と比較して時間の精度が低く、ぜんまいを自分で回さないといけないなど一見「不便」なところが、デジタル世代からすると目新しく映り、付加価値となっている。
こうしたトレンドをキャッチアップし、シチズンの若者市場開拓を牽引しているのが、2021年にアジアで発売を開始した「TSUYOSA(ツヨサ)コレクション(以下TSUYOSA)」だ。もともと型番だけで名称がなかったものの、海外で“ファンの間で”愛称が付けられ、シチズンも後から公認し、独特のネーミングとなったという異色の商品だ。
発売からまだ4年だが、同社の欧州における時計売り上げの約2割を占め、グローバルでは過去10年で最も売れたと言えるまでの商品に育ったという。
しかし、もともと同商品はアジア向けとして展開したものの、明確に「若者」を狙っているわけではなかったと、当時、販売やマーケティングを担当していた平松恭典氏(事業企画センター事業企画部副部長)は振り返る。
若者の腕時計離れもささやかれる昨今、“爆売れ”した商品は、どのようにして生まれ、若者からの根強い支持を獲得したのか。今年4月に就任した大治良高社長と平松氏に取材した。


