半面、すべての元凶は日枝体制という流れは公正とはいえない。日枝氏の反論は直撃取材をしてでも聞き、問題に関わった元編成部長の弁明も報じるべきだった。中居氏側に取材を試みたのなら、その過程も伝えてほしかった。「上納」文化の温床とされた企業風土についての言及がなかったことからは、社員が社内で身内を取材する検証番組の限界も見えた。調査報道に長けた第三者に全権プロデューサーを委任したほうが疑念を抱かれなかったのではないか。
今回の番組はみそぎではない。一里塚は清水社長が番組内で話した「弱者が安心して生きていけるような社会を作るため」のコンテンツ作りだ。
捜査機関の監視と「対等報道」に欠けていた大川原化工機事件
昨年10月に無罪が確定した袴田事件に続き、また犯罪報道のあり方が問われた。化学機械メーカー「大川原化工機」(横浜市)の冤罪だ。6月11日、警視庁と東京地検が捜査を違法とした東京高裁判決について上告断念を表明。大川原正明社長らへの謝罪とともに捜査の問題点を検証するチームを発足させたが、検証は報道側にも向けられたのだ。毎日新聞によると、拘留中に病死した同社顧問の長男は記者会見で「警察の情報を丸のみにして報道する姿勢、(逮捕時の)2020年3月にやったことを皆さん自身でも検証してください。一部のメディアは警視庁の見解を(国賠請求)訴訟の間も垂れ流していた。検証の対象はメディアの皆さんも含まれている」と話し、メディアへの不信感を露わにした。
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