※本稿は、大友通明『栄養整形外科医の一生折れない骨をつくる「強骨みそ汁」』(青春出版社)一部を再編集したものです。
高齢者の骨折で注意すべき4カ所とは
骨折は、老若男女を問わず起こります。多くの場合、スポーツや事故などで骨が強い外的衝撃を受けることで、骨がひび割れたり折れたりします。しかし、高齢者の骨折は、若い人の骨折とは分けて考える必要があります。
高齢者の骨折の原因は転倒によるものが多いのですが、高齢になると骨が弱くなるため、ちょっと大きな家具を移動したり、土の入った植木鉢を持ち上げたりした程度でも、骨が折れてしまうことがあるのです。また、折れる骨の部位にも特徴があります。高齢者の骨折で多いのは、脚の付け根、背骨、手首、肩の4つです。
【脚の付け根(大腿骨近位部)】
歩くという行為は、人が日常生活を営むうえでとても重要です。脚の付け根を骨折すると、歩行が困難になります。その結果、車椅子での移動を余儀なくされたり、骨折がよくなったとしても、杖が手放せなくなったりします。当然、行動範囲は狭まります。
山歩きが大好きで友だちと出かけていたのに、それができなくなってしまった人は、その喜びまでも奪われてしまうことになります。
卵がつぶれるようにグシャッと折れる
【背骨(脊椎圧迫骨折)】
背骨は体幹の軸となる大切な骨です。弱くなった背骨は、ちょっとした物を持ち上げたり尻もちをついた程度で圧迫骨折(腰椎や胸椎の椎体という部位がつぶれるように折れる骨折)を起こしてしまうことがあります。
骨折したら背中をまっすぐな状態に保てません。痛みがあると起きている姿勢がつらいので、よくなるまではベッドの上で過ごすことになります。
また、治療の際にはコルセットなどで固定することが多いのですが、肋骨に当たったり胸が圧迫されたりするからとつけないでいると、背中が丸まったまま固まってしまいます。
【手首(橈骨遠位端)】
転倒してとっさに手をついてしまい骨が折れる――これが手首の骨折に多いパターンです。とくに利き手を骨折してしまうと、箸を持ったり字を書いたりすることもできず、日常生活のすべてが不自由になります。
ちなみに、若い人の手首の骨折がポキッと折れるのに対し、高齢者は卵がつぶれるようにグシャッと折れてしまうため、骨折が治っても元通りにならず、骨の変形が残ってしまうこともあります。
【肩(上腕骨近位部)】
肩も、転倒などの際にぶつけて骨折することが多い部位です。脚の付け根や背骨、手首に比べると、肩の骨折はそれほど大変ではないと思われるかもしれません。しかし、肩が上がらないと服の脱ぎ着が困難になるのはもちろんのこと、家事をしたり物を持ち上げたりすることもできなくなってしまいます。
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