すぐに家庭教師を依頼し、レッスンは週2、3日、終業後にオフィスで1回2時間ずつ基礎から学んだ。単語は漢字で書き、ピンイン(発音記号)と四声(声調記号)を振って、紙に単語を書いて書いて書きまくる。レッスンの終わりには、単語のテスト。さらに先生と役割を決めて会話形式の練習。次に役割を入れ替えて同じ会話をする。セリフは暗記が前提だ。

このため、レッスン当日は朝4時に起床、シャワーを浴びて予習・復習。自習はすべてノートに何度も書き、自分で発音しながら手と目と耳で覚えた。

「その頃から約3年間は、日本に帰されるのではないかと不安で、がむしゃらに勉強しましたね。中国語で寝言を言ってたよと女房に冷やかされたほどです。今思えば、同じ単語を何度も書いて、ピンインと四声を振って覚えたことと、会話形式の練習を積んだことが上達のポイントだったと思います」

また、学習の曜日も固定し、出張を入れる場合でもなるべく学習日が影響を受けないように予定を組んでいたという。おのずと学習のペースが生まれ、例えば週が明けたら中国語というふうに習慣化していた。中国語のテレビもいい練習になったという。

「画面に字幕が出るので、参考になります。最初はただの音にしか聞こえないのですが、あるとき単語の切れ目がわかるようになる。やがてフレーズの中のいくつかの単語が拾えるようになるんです。そのあたりから、こんなことを言ってるのかなと想像力が働き、だんだん聞き取れるようになりました」

渡邉さんによれば、メール作成も中国語の勉強に大いに役立つという。

パソコンでの中国語の入力は、日本語と同様にアルファベットの読みを入力して漢字に変換する。この読み(ピンイン)が正確に入力できるということは、いわば発音記号をしっかり覚えていることになる。

「自分でピンインを入力して変換しても、『あれっ、何で候補が出てこない?』と不思議に思って辞書を見ると、ピンインが間違っていたということもよくあります。発音と漢字の関係を覚える練習になりますね」