泣き出されてしまうこともあるかもしれません。そういうときはひたすら共感作戦です。悲しい→こちらも泣きたい。腹が立つ→自分を殴ってやりたい。期待していたのにふがいない→期待に応えられず情けない。というように「あなたのおっしゃることはまさにその通りだ」と仲間意識を醸し出す方向での対応が効果的です。
ただ、部下の女性がミスをして、その謝罪の相手が女性という場合はちょっと複雑です。若くて可愛かったりしたら、それだけで憎しみの対象。年上の女性としては、女性としてそれなりの苦労をしながら今日まで仕事を続けてきたという自負がありますから「あんたみたいな若いのがいるから、女は苦労するの。そんななめた気分で女性が仕事をやっていけると思っているの?」的にアタリが強くなることは覚悟してください。
女性同士の場合、身に覚えがあるから、ダメなところが余計に目につく。腹の立つポイントを上手に探してしまうようです。
こんなときは「経験がないもので、許してやって」的な部下をかばう態度はよくありません。「今回のことがいい経験になったと思います。どうぞこれからも教えてやってください」と、この若い奴を一緒に鍛えましょう、と共感を促すほうがいいと思います。
謝るというのは屈辱的で、非生産的な行為に見えますが、謝罪をきっかけに仲がよくなったり、謝りっぷりで評価が上がることは、どんな仕事にもあります。
怒りを逸らしたり、頭を下げる時間を短くするテクニックも必要かもしれませんが、できれば謝ることで信頼を築き、後々の仕事に繋げることこそ目指したい境地です。ミスは必ず起きるもの。謝りにいくのは一石何鳥にも値するようなチャンスだと、役職者は張り切って謝りにいってほしいですね。部下からの信頼も得られます。
石原壮一郎
1963年、三重県生まれ。近著に『職場の理不尽-めげないヒント45』(岸良裕司と共著 新潮新書)。2012年「伊勢うどん友の会」を結成し、応援活動中。