もし、「失敗」したら何が起こるのか?

アベノミクスが成功すれば素晴らしいことだ。しかしリフレ政策に全財産を賭ける気がないなら、失敗したときのことも考えておく必要がある。日本の未来は、原理的に次の3つしかない。

(1)「楽観シナリオ」
――アベノミクスが成功し、経済成長がふたたび始まる。

(2)「悲観シナリオ」
――金融緩和は効果がなく、円高と低金利のデフレ不況がこれからも続く。

(3)「破滅シナリオ」
――国債の暴落(金利の急騰)と高インフレで財政は破綻し、金融危機が起きる。

このうち(1)になれば、仕事はいくらでもあるし、年金も確実にもらえる。(2)は「失われた20年」が続くわけで、いまとやるべきことは変わらない。

問題は(3)で、適切な対応をとらなければ損失を被りかねない。日本は1000兆円という天文学的な借金を抱えており、国債価格が下落(金利が上昇)すれば財政破綻のトリガーになる。

とはいえ、仮に(3)が起こったとしても、ある朝、目覚めたら1万円札が紙くずになっていた、などということは起こらない。ギリシャにしても、国家がらみの粉飾決算が発覚して国債が急落するまで1年以上かかっている。キプロスも、銀行が破綻状態になってEUに支援を要請したのが去年の6月。預金封鎖までは十分な時間があった。

日本国の財政が破綻すれば、次のような順番で事態は悪化していく。

【第1ステージ】国債価格が下落して金利が上昇する。
【第2ステージ】円安とインフレが進行し、国家債務の膨張が止まらなくなる。
【第3ステージ】
(国家破産)日本政府が国債のデフォルトを宣言する。