今夏解禁されるインターネット上での選挙戦。そこでいったい何が起こるのか? 2002年から“ネット選挙運動”を経験済みの韓国を例に、徹底検証!

4月19日、参院本会議で公職選挙法改正案が全会一致で可決、成立した。これで今夏の参議院選挙からネットを介した選挙運動が解禁され、ホームページやブログ、ツイッター、フェイスブックといったSNS(ソーシャル・ネットワーク・サービス)が利用可能となる。

今どき、ネットを介さない選挙など甚だしい時代遅れといわれながら、ネット選挙解禁はかねてから議員立法の形で浮上してはまた消えていく憂き目を見てきた。ここにきて安倍晋三首相が解禁に意欲的な姿勢を見せ、ようやく日の目を見ることになった格好だ。

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日本の“ネット選挙解禁”は、本当にうまくいくか?

選挙活動にメールを使えるのが候補者と政党に限定されている3党(自民党・公明党・日本維新の会)案に対し、民主党・みんなの党は有権者も含めた全面解禁を求めていたが、最後は3党案をのんだ格好。ただ、将来の全面解禁に向けた再検討が付記されている。

実際にネット、SNSを使った選挙運動が可能となれば、選挙の何がどう変わるのかは興味の湧くところである。

ただ、こうしたネット解禁に関する議論の中身に首を傾げる向きもある。

「インターネット選挙に対する理解が誤っている。メールはどこまで云々などという制限の範囲が議論の焦点になっていて、実際に行われているネット選挙の実情とかみ合っていない」

李洪千・慶應義塾大学総合政策学部専任講師の指摘は手厳しい。李氏は、11年前からネット選挙が本格化した韓国の選挙事情に詳しく、メディアと選挙の関わりを研究している。

「韓国ではメールは有権者も全面解禁。SNSのメッセージ機能は送り主が特定されるので、メールの延長と見なされOK。今回の改正案が直接SNSについて触れていないのはネックになる」