「後で返す」とわが子のお年玉を……
教育費が誤算だったのは確かなようだ。が、妻のパート収入を含めれば年収600万円弱。なのに「預貯金がプラスになったことがない」(仲本氏)のはなぜか。
「私と同じ、『何とかなるわ』の典型的なバブル世代。見栄を捨てられず、消費をまだ美徳だと思っている」
仲本氏の家計を見たFPの深野康彦氏が苦笑する。その消費=美徳の意識が如実に表れているのが車だという。
「軽自動車と、新古で購入したベンツの計2台を持っていた。先日ベンツのドアミラーを修理に出したら18万円と聞いてビックリ」(仲本氏)、2台とも売却して国産車を170万円で購入した。
「“軽”1台を残せばいいのに。買い替えという“美徳”の口実だったのかも。長女にゴルフセットを買ったそうですが、使わないなら売ったほうがいい」(深野氏)
一番怖いのが、仲本氏の健康だ。
「この食事では体を壊し、かえってお金がかかる。家族のためにわが身を犠牲に、という考えは独りよがり。奥さんに『風邪ひくな』と一喝されそう」(同)
震災で仕事はガタガタに。最近ようやく持ち直すも、収入増は望み薄だ。おのおのの両親は健在だが、長女の高校受験が終わると“支援打ち止め”を宣告された。最近、妻が「後で返す」と言いつつわが子のお年玉に手を付けたという。
「奨学金を借りられるから、というだけでお子さんを大学に進めるのはやめたほうがいい。4年間で数百万円の債務を背負ったまま社会に出ることになる。子供が就職できず、かつ夫が失業ともなれば、親子で共倒れになります。まず、奥さんにもっと稼いでもらわないと、老後は最悪で生活保護を受けるかも。とにかく見栄とプライドを捨て、家族で内実をあけすけに話しあうべきでしょう」(深野氏)
就職できれば幸運というご時勢は続く。“最悪”は絵空事ではないのだ。