海外で活躍できるグローバル人材の条件

【電機】グローバル人材が不足しているといわれるが、海外で活躍できる人材には、コミュニケーション手段としての語学力は不可欠だ。ただ、語学だけではだめなんだ。必要な能力とは「コミュニケーション力」と「誠実さ」の2つにつきる。コミュニケーション力には、専門知識やプレゼン力、交渉力も含まれるが、それ以上に熱いまなざしを持ってビジネスに取り組む本気度があるかどうかが重要だ。やはり本気で迫る人に、人は動かされるものだ。

【IT】うちは海外公募制度があるが、大事なのは海外で仕事をしてみたいと思う人間じゃないとだめだということ。それから何事にも細かいやつはだめ。むしろ大雑把なやつのほうがいい。たとえば、海外赴任が決まったとすると「現地にスーパーはありますか」「水は飲めるんですか」などと、事細かく聞いてくるやつ。こんな社員が赴任しても大概は失敗して戻ってくる。

【流通】語学よりも大事なのはやはり胆力がある人間だよ。語学だけできても現地に行ってつぶれるやつはつぶれるし、英語バカはいらないね。語学の能力と仕事の能力はまったく違う。何より、ビジネスで使う英語は、単に英語ができますというレベルとは違う。実際に、外国人と英語で切った張ったの勝負ができる人ってそんなにいない。

【化学】肝が据わった度胸があるやつだね。こいつは何を食っても平気そうだなというタイプ。そんな人間をばんばん行かせたほうが、英語や中国語の上達はよっぽど早いと私は思っている。

【食品】うちはアジアに製造と販売の大きな拠点があり、日本人も多く、英語も使うが日本語も使う。最初は入社2年目くらいから赴任させ、1~2年、モノづくりに関連する仕事をさせながら製品に関する知識と同時にブロークンな英語を身につけさせる。そこからヨーロッパやアメリカの拠点に行かせるようにしている。いきなりアメリカに赴任させるより、シンガポールを経由したほうがうまく育っているね。