25年近くも前の話だが、勤務していた企業で「まねっこ運動」というものが推奨された。顧客サービスで優れた取り組みをしている支店を他支店も見習い、水平展開しようというのである。しかし、この活動はあまり盛り上がらなかった。全国に散らばっている支店はそれぞれの地域特性を抱えているし、何より支店長のモチベーションが上がらない。ライバルの支店の施策を真似するなんて……。

模倣は決して簡単なものではなく、その成功には、やる気や戦略が必要だ。本書は、業界に君臨するリーダー企業の多くが模倣者としてスタートし、やがてイノベーターを凌駕した豊富な実例を挙げて、まずは読者を惹きつける。さらに生物学や哲学、芸術といった幅広い分野における模倣を再定義したうえで、経営学分野での成功のヒントを順次説いていく。

たとえば模倣をするタイミングについて、戦略上の選択肢は大きく3つあるという。すぐ後に続くファストセカンド(迅速な二番手)、強力な差別化要因を使って最初の模倣者の後を追うカム・フロム・ビハインド(後発追撃者)、イノベーターのノウハウを異なった市場に移植するパイオニアインポーター(先駆的移植者)。それぞれ一長一短があるが、自社の強みや市場環境等から綿密な見極めをしなければ成功する確率は低くなるだろう。

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