統計を見ても、平均初婚年齢は明白に上昇しています。10年の段階で、夫が30.5歳、妻が28.8歳という数値(概数)になっています。「50歳時」で結婚したことのない人の割合を算出する生涯未婚率も上がっています。05年のデータは、男性が15.96%、女性が7.25%です。もちろん、お金がなくて結婚できない、という状況はあります。ただ、結婚できないのと結婚したくないのとは、なかなか切り分けられません。

生活の満足度についても、心から満足しているのか、それともあきらめて「満足」と答えているのか、そこは表裏一体です。人は、欲望を前面に出したり引っ込めたりして、したたかに現状適応しようとするものです。今の日本の若者は、自分の期待値を下げて現状に適応しようとしているのではないでしょうか。

就業者の9割は「雇われ」。保守化は社会全体の傾向

経済の視点からすると、そんな若者ばかりが増えてしまったら消費が減退して困る、となります。けれども、若者の価値観の変化を嘆く前に、企業はビジネスの方法を省みたほうがいいように思います。もし、昔ながらの欲望をプッシュする方法で商品を売り込もうとしていたのなら、売れないのも仕方ありません。今の若者の意識に対応した商品、つながりやコミュニケーションの求めに応えたサービスはしっかりと売れているのです。

そのような商品が提供するつながりやコミュニケーションは虚構にすぎない、非正規雇用や結婚難の問題に取り組まなければ日本の階層社会化がより進む、という学識者やジャーナリストの指摘もあります。階層社会化の進行については、僕もそうだと思います。80年代以降から、明らかに親の職業と学歴が、子供の学歴と職業に連関しています。ただ、それに気づいて今の社会を批判するのは、教育歴の高い人ばかりです。教育歴が低い人は、是非は別として、そういうマクロな構造になかなか気づきません。