トヨタ自動車会長「あなたのドーナツを見つけてください」

もうひとつ、紹介したいのが、トヨタ自動車の豊田章男会長がアメリカのバブソン大学の卒業式で行ったスピーチです。

タイトルは“Find your own donut”(自分だけのドーナツを見つけましょう)でした。

豊田会長は、アメリカに留学していたとき、勉強漬けでつらかった日々を振り返り、唯一楽しみだったのがドーナツだったというエピソードを紹介。

そのうえで、

みなさんも、自分だけのドーナツを見つけてください。
夢中になれるものを見つけたら、手放さないでください。

と呼びかけたのです。

写真=iStock.com/EyeEm Mobile GmbH
※写真はイメージです

世界の大谷翔平の「神メッセージ」とは

ほかにも、パンチの利いたキーメッセージが注目されたスピーチがありました。

僕から一個だけ。憧れるのをやめましょう。

ファーストにゴールドシュミットがいたり、センターを見たらマイク・トラウトがいるし、外野にムーキー・ベッツがいたり、野球をやってれば誰もが聞いたことがあるような選手たちがいると思う。

今日一日だけは、やっぱり憧れてしまっては超えられないんで、僕らは今日超えるために、トップになるために来たので、今日一日だけは、彼らへの憧れを捨てて、勝つことだけ考えていきましょう。

さあ、行こう!

メジャーリーグの大谷翔平選手が2023年のWBC決勝戦の前に、チームのメンバーに語りかけたシーンです。

「キーメッセージ→具体例→キーメッセージを繰り返す」という、まさにお手本のような話し方でした。

みなさんも、短く歯切れよく、記憶に残りやすく、相手をノックダウンさせるぐらいにパンチの利いた「神メッセージ」を、繰り出してみてください。

世界的なプレゼンイベントTEDの代表である、クリス・アンダーソンはその著書の中で、次のように語っています。

パブリックスピーキング(人前で話すこと)で本当に重要なのは、自信でも、ステージでのプレゼンスでも、スムーズな話し方でもない。言うに値する何かを持っているかどうかだ。

語るに値する何かを「たった一言のメッセージ」に凝縮し、結晶化することこそが、「人前で話す」ときの最も大切な作業なのです。