振り返りやすい「メモ」のつくり方

例えば、こんな感じです。

○自分の「気づき」(=誤差):昔のフィルムカメラや万年筆を使うと楽しい。不便なもののほうが魅力的なのでは?
 その「気づき」に対する「常識/定説」:常識としてのコスパ・タイパ至上主義。効率が良いものを追求することが生活を豊かにするという考え方や価値観
○自分の「違和感」(=誤差):もしかしたら、現代ではSNSでのやりとりのほうが、アナログ的なやりとりよりも人間関係を豊かにするのかも?
 その「違和感」を抱いた「常識/定説」(=予測):デジタルよりも、アナログな手紙や手作りギフト、リアルの対面会議、飲みニケーションなどが、人間関係を深めることにおいては重要だという従来の考え方や価値観

このような「普段の暮らし」の中にある「自分自身の感情/感覚」に意識的でいることが、後々のインサイト探索には非常に役に立つのです。

インサイトが、その人のセンスや属人的な能力のように感じられることがあるのは、その人が自分自身の「普段の暮らし」をどのように意識しているかが大きく影響しているからかもしれません。

「非合理」な感情が人を動かす

では、なぜ、インサイト探索の最初の一歩が、「気づき」や「違和感」なのでしょうか。

それは、「インサイト」とは、最終的に人を動かすためのものだからです。「人を動かすこと」、それは、すなわち「人の意思決定を促すこと」です。

昨今の行動経済学で言われるように、人間の意思決定や行動には、“非合理な”「感情」が大きな影響を与えています。私たちは世界から得られるあらゆる情報を「感情」というフィルターを通して認知し、判断・行動しているのです。

そして、その「感情」は、グラデーションを持ちながら、実に様々な種類があり、さらにそれらが互いに複雑に絡み合ってできています。繰り返しになりますが、その多様で複雑な感情の中にこそ、「インサイト」=「隠れたホンネ」も埋もれているのです。

つまり「気づき」や「違和感」を大事に育てることは、人を動かす「隠れたホンネ」を見つけることにつながるのです。