感じる前に「オドロキ」がある

例えば、クルマの衝突実験をしているときは、目の前でクルマが衝突しても、あらかじめ予測しているので誤差が極めて小さく、感情的にはそれほど驚かずに平静でいることができます。

しかし、道を歩いていていきなりクルマが目の前で壁に衝突したときは、予測できていないので、誤差によって大きな感情が発生する、ということです。

表現の技術』(崎卓馬著 中央公論新社)には次のように書いてあります。

感情を動かすために絶対必要な要素、それは「オドロキ」です。すべての人は笑う直前に必ず驚いているのです。~中略~ 笑う前に必ず一度、その変化に対して驚いているのに気がつきます。

つまり、ここでの「オドロキ」こそが「予測誤差」です。笑ったり悲しんだりという感情が生まれる前には、必ず大きな「予測誤差」があるのです。

「日々の習慣」がセンスに差をつける

説明がやや専門的になりましたが、「自分の感情が動かされたとき」とは、自分が予測したことと、実際に起こったことの誤差が大きかったときなのです。

「予測」の多くは、日常的な習慣や常識に則って行なわれています。つまり、「気づく能力」や「違和感」とは、自分の予測=「常識/定説」に対して「何か変だと気づく能力」とも言えるかもしれません。

それが、このステップで必要な「感性力」です。

この「気づく能力」を高めるためには、日頃から「自分の感情が動かされたとき」を、常に忘れないようにメモしたり、SNSにつぶやいたりしておくとよいでしょう。

写真=iStock.com/Goodboy Picture Company
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すると、自分の「気づき」や「違和感」(=誤差)が、どのような「常識」や「定説」(=予測)に対して生まれるものなのか、というストックを持つことができます。