母が語った「いちばん大切にしていたこと」

僕自身がつらい気持ちでいっぱいだったときには、母の苦労に思いをはせることはできませんでしたが、母もきっと言葉にできない感情を抱えていたのだと思います。

ちょうど同じ時期に父の病気が発覚したこともあり、母は父のケアをしながら、僕の病院や検査に付き添ってくれていました。病院めぐり、検査、発達性読み書き障害の判定、その後の大学受験……母はそのすべてに寄り添ってくれました。

父は僕が18歳のときに帰らぬ人となりました。晩年は畑を耕し野菜を育て、温かい心で僕の健やかな成長を見守ってくれていました。今でも感謝しています。

そんな中、僕と一緒に呼ばれた講演会で、母はこう語っていました。子どもの障害と向き合う中でいちばん大切にしていたのは「自分を追い詰めず、子どもも追い詰めないこと」だと。

関口裕昭『読み書きが苦手な子を見守るあなたへ 発達性読み書き障害のぼくが父になるまで』(ポプラ社)

合理的配慮の実現により、お子さんが安心して学校に通えるようになるのはよいことですが、その交渉に注力するあまりあなたが追い詰められてしまったら本末転倒です。

みなさんは今、追い詰められていませんか?

お子さんを追い詰めそうになっていませんか?

お子さんの学びの状態や学校への配慮について情報交換をしたり、悩みを相談できる場所は、みなさんの近くにありますか?

時には、あなたも息抜きしてくださいね。

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