ATM利用手数料の無料サービスを大幅に後退させては利用率を落とし、消費者金融債権の証券化、不動産証券化、不動産担保ローンなど、ことごとくサブプライム問題などの影響も受けて開店休業のような状態を余儀なくされている。
なかでも「アプラス」「シンキ」の業績悪化は目を覆うばかりのようだ。「アプラス」のメーン業務としてきた地方銀行の住宅ローンや個人ローンの信用保証業務などの“傷み”はさらに拡大する。「シンキ」買収資金の回収も消費者金融業の低迷で思うように進んでいない。
特にモルガン・スタンレー・ジャパンの社長から転身し、3年前に新生銀行の社長に就任したティエリー・ポルテの責任を問う声は多い。
「なにしろ、成功は自分で失敗はすべて相手に押し付けるタイプ。これほど評判の悪い人間も珍しい」
酷評ばかりが聞こえてくるポルテが新生銀行で手がけたことといえば、徹底した経費削減のみであった。資料のコピー代金、出張旅費の削減、通信費といった分野に至るまで、ポルテ直々のメールが部長クラスに頻繁に来ていたというのだから、その徹底ぶりは凄まじい。その辣腕を本来の経営で振るえば新生銀行の在りかたも変わっていたはずだが……。
中国国営銀行の一つ「中国建設銀行」の顧問も務めるなど中国の政財界に太いパイプを持つ八城が社長に復帰したことから新生銀行の身売り先はここではないかとの憶測が広まっている。世界中の傷んだ企業のラストリゾートになった感のある中国ではあるが、はたしてそれほどの余裕があるかどうか。
一方でまことしやかに囁かれている「あおぞら銀行」との合併。たしかに新生銀行と同じ元政府系金融機関の出自であるが、こちらも青息吐息なだけに、「弱者連合などできるわけはない」(財務省関係者)との声も聞こえてくる。
金融庁銀行1課では内々に預金保険法102条の1号から3号までに照らし合わせ、買い手が見つからない場合に備えて、準備を急ピッチで進めている。筆頭株主である米投資会社「JCフラワーズ」がサブプライム問題で巨額の損失を出したことも、金融庁の作業を急がせている一因にもなっている。
79歳の社長に命運を託すしかない新生銀行。やはり“長銀は二度死ぬ”のだろうか(文中敬称略)。