“日本ブランドへの信用”が悪用されている

このような例は枚挙にいとまがないが、共通するのは「異様に安い価格」である。

オンラインショッピングサイトで本物の日本産と思われるシャインマスカットは基本的に一房50万ルピア(約5000円以上)するものであり、それ以下は偽物の確率が非常に高いということであろう。現地の日系流通関係者がこう解説する。

「首都であるジャカルタ特別州の毎月の最低賃金が約5万円、実際にはローカル企業勤務で約2万~3万円程度の人も少なくないインドネシアでは、数千円もするような果物は相当なご馳走であり、本物のシャインマスカットを口にする機会のある人の方が圧倒的に少数派です。

一方で日本産の高級品に憧れがある人も多いため、こうした偽物を本物と錯覚して購入する例が後を絶ちません。騙される消費者が悪いというのは簡単ですが、利用された日本ブランドの信用が棄損されるのは許せないですね」

本物の日本産マスカットが高価なのは、日本の農家がオリジナルの育て方で時間とエネルギーをかけているという手間暇によるところが大きいのは言うまでもない。

日本ブランドを利用する商法に対抗する手段がないのは、国内市場しか想定していなかった日本政府も農家も認識が甘かったからだといえばその通りだが、何とも忍びない話である。

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