低い声で一文を短く話す

「皆さんこんにちは、柳井です。」

会場に集まった270人の新入社員にむけて、柳井氏は低めの声で淡々と話し始めます。

「こうやって見ると壮観ですね。一人ずつ全部顔が違うっていう。当たり前のことなんですけど。」

つかみとして笑顔をみせながら冗談を言ったあと、以下のように続けます。

「我々、企業理念をやはり1番大事にしております。ですから企業理念に共鳴してください。これを自分の方針にしてください。仕事する上で正しい考え方を持ってください。」

柳井氏はこのあとも終始一文が短いリズム感を崩さず話し続けます。

言いよどみ、そして緊張による話しづらさを治すには、息のコントロールが重要となります。息は、一文がより短い方がコントロールしやすくなります。さらには、低い声の方が望ましいとされています。「低い声で一文を短く話す」という柳井氏の話し方は理にかなっているといえるのです。

もしあなたも人前で話すと緊張して声が出づらい、頭が真っ白になるという悩みをお持ちであれば、柳井氏の話し方を真似ることで堂々と話すことができるようになるでしょう。

写真=iStock.com/kazuma seki
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一文あたりの平均文字数はおよそ24.5字

私がかつてキャスターを務めていたNHKでは、「一文短く」話す目安として一文を50文字以内にすることを推奨していました。一つの文、つまりはじまりから句点「。」までが50文字を超えると長いということです。

改めて柳井氏のメッセージの文字数をみてみましょう。

我々企業理念をやはり1番大事にしております。(21文字)
ですから企業理念に共鳴してください。(17文字)
これを自分の方針にしてください。(15文字)
仕事する上で正しい考え方を持ってください。(20文字)

このように約20分のスピーチで、文章全体の一文あたりの平均文字数は、およそ24.51文字でした。