「今までの血糖値」がどれほど高かったか

例えば6年間高血糖状態が続いた人たちが7年目から血糖コントロールを始めても、最初から血糖コントロールを行った人と比べて30年後の死亡率が高いと報告されている。昭和大学医学部教授の山岸昌一医師も、「今までの血糖値がどれほど高かったかが将来の寿命の決め手」と述べている。

「ケアしなければいけないのは、血糖値の高さだけではなく、血糖値が高い状態がどれくらいの時間続いたか、なのです。時間の枠で考えると、例えば血糖値300mg/dlは良くない数値ですが、それが5日で済むのであれば、200ml/dlの血糖値が5年続くよりもマシということです」

今現在、どんな健康保険に加入している人であっても、今一度自分の生活を振り返ってほしい。検査結果の数値には出てこなくても体調の変化がないだろうか。

芝田教授は、「『国民健康・栄養調査』によれば、所得が低いほど病気になりそうな生活習慣を送っている」と指摘する。

「所得の低い人ほど喫煙率が高い傾向にあります。タバコ代がかかるのに理由は正確にはわかりませんが、簡単にストレス解消ができる方法なのかもしれません。また、所得の低い人のほうが栄養バランスが悪いですし、1日の歩数も低所得者のほうが少ない。所得が高い人は、主食・主菜・副菜を組み合わせて食べ、1日の歩数も多い傾向にある。お金があることで、自分の健康に気を配る余裕があるともいえるでしょう」

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「負のスパイラル」ではないか?

所得が少ないと健診の未受診が増えることもわかっている。健診を受けることは、その内容よりも、自分の体に目を向けられ健康診断の結果を受け止められる生活を送っていることの表れだと私は思う。

改めて国保加入者は年齢層が高いというだけでなく、所得が低いことからも病気になりやすい人が多いといえる。そして保険料が高いために支払いに苦しみ、ますます貧困が進み、病院にかかれず、早期発見ができないのでは負のスパイラルではないか。実は私も20代の頃、その日に食べるものにも困るような貧困生活を送っていたことがあるので、お金がない、生活に余裕がない、だから「将来への投資」(=ここでは健康のことだ)ができない状況はよくわかる。

そこでこれまで長年、医療健康情報を取材執筆していた経験から、お金や時間がなくても今すぐできること、しかも健康への効果が大きい2つについて次に記したい。