手取り率が上から順に91%、91%、91%と高止まりし、年収106万円の96%をピークに、94%、92%と少しずつ落ちていく形になります。
こうなると、「収入を106万円まで増やして社会保険に入った方がお得」という印象ですね。壁を引き上げることで、働き控えを減らす効果が期待できそうです。
学生バイトの「103万円の壁」は深刻
③学生バイトのケース(現状)
最後に学生バイトの場合を考えてみます。親が年収800万円から500万円の会社員で、子供が20歳から22歳の学生という設定です。
年収100万円では手取りが99万円で、手取り率は99%です。学生といっても20歳以上なので、自分自身で国民年金の保険料約20万円を払っていると想定しています。ただ親の方に特定扶養控除という大きな控除がありますので、両方で相殺され、手取りはそんなに減らないという計算になります。
学生の場合、年収がいくら増えても雇用保険や社会保険の対象外なので、社会保険は原則無視してかまいません。
年収103万円では住民税が発生するので、手取り101万円、手取り率98%となります。
ここで「103万円の壁」が立ちふさがります。
年収103万円を超えると、親の特定扶養控除が消滅するので、年収104万円の場合、手取りは83万円、手取り率80%と激減してしまうのです。
年収130万円を超えると今度は所得税が発生します。130万円以下であれば勤労学生控除という制度があり、所得税はかからないのですが、それがなくなってしまうのです。さらに、親の扶養からも外れるため、自分自身で国民健康保険に入るしかありません。その結果、手取りが99万円、手取り率76%と、さらに減ってしまいます。
年収178万円あったとしても、手取りは135万円、手取り率76%。収入のだいたい4分の1は税金や保険料として払わなければいけないというのが、学生バイトの特徴です。
178万円稼ぐと手取りが34万円増える
③学生バイトのケース(変更後)
壁が178万円に引き上がるとどうなるか。図表8(次ページ)を見てください。