「ワーク・ライフ・ ハーモニー」の実現

【実践⑤】良好な人間関係の維持

親しい友人や家族と一緒に過ごす時間を重要視しています。

人とのつながりや信頼関係、愛情を深める行動は、オキシトシンの分泌を促します。

オキシトシンは、「愛情ホルモン」や「絆ホルモン」とも呼ばれ、脳内にオキシトシンが分泌されると、長く続く幸福感を得ることができます。

人間の脳は、達成感が得られるとドーパミン(快楽ホルモン)を分泌したり、軽い運動などによってセロトニン(リラックス・ホルモン)を分泌しますが、これらのホルモンは一時的なもので、長続きすることはありません。

世界の一流は、気心の知れた友人や家族と一緒に時間を過ごすことで、長期的な幸福感を手に入れているのです。

こうした考え方から、彼らエグゼクティブが目指しているのは、「ワーク・ライフ・ハーモニー」(仕事と生活の調和)の実現であることがわかります。

英語には「ワーク・ライフ・バランス」という表現があり、日本でも古くから知られていますが、この二つの考え方には大きな違いがあります。

仕事と私生活は「対立構造」ではない

ワーク・ライフ・バランスというのは、釣り合い人形の「弥次郎兵衛」のように、仕事と生活のバランス(均衡)を取って、どちらかに傾かないようにする……という考え方ですが、ワーク・ライフ・ハーモニーは、両者を切り離して考えるのではなく、上手に統合して調和させることを意味しています。

越川慎司『世界の一流は「休日」に何をしているのか』(クロスメディア・パブリッシング)

頑張って仕事をすると、プライベート(私生活)が犠牲になります。

私生活を優先させると、仕事がおろそかになります。

日本のビジネスパーソンは、仕事と私生活を「対立構造」で考えがちですが、マイクロソフトのエグゼクティブは、仕事が個人の成長を促し、個人の生活が仕事のパフォーマンス向上に役立つ……と考えています。

彼らは、仕事と私生活の両方のクオリティを上げて、両方の満足度を高めることを目指しているのです。

それを上手に統合して、調和を図る役割を果たすのが「休日」であり、彼らは休日を、ワーク・ライフ・ハーモニーの「原点」と考えています。

「休みのために仕事をする」という言葉には、そうした決意と覚悟が現れているように思います。

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