選択する力を養い「自分の人生」を生きる

片づけは、一度やったら終わりではありません。大事なのは習慣化することです。以前、個人宅の片づけをやっていたことがあります。そのとき、あるお客様に「夫のゴミ箱はどれがいいでしょうか?」と聞かれたことがあります。それを聞いたとき、軽い衝撃を受けました。私がいろいろアドバイスした結果、お客様はゴミ箱を選ぶことさえ、自信を持てなくなってしまったのです。

人から指示をされて片づけても、ライフイベントやお子さんの進学などで変化があるとあまり再現性がなく、汚部屋のリバウンドになってしまうのです。

片づけに一つの正解はありません。ですから私たちは講座の受講生さんたちに「あれを捨てましょう、これを捨てましょう」「服は何着にしましょう、食器はいくつまで」とは言いません。それを決めるのはあくまでご自身だからです。

片づけを習慣化するためにまず大事なことは「自分で決めること」=「自己決定力」をつけることです。そんな当たり前のこと! と思うかもしれませんが、実は片づけられない人の特徴として「捨てていいかとっておくのか決められない」という人が非常に多いのです。

「何を選ぶか」「何を捨てるか」「どこに置くか」など、片づけは自己決定の連続です。

まずは自分自身で選択する力をつけなければ部屋は片づきません。自己決定力をつけることは自分の人生を自分で決定することにもつながります。

今までなんとなくやってきたこと、嫌だなと思いながら目をつむってきたこと、人に合わせて流されてやってきたことに向き合い、自分で決定する。片づけをやっていくと人生が良い方向に変わるのは、このあたりに理由があるのかもしれません。

「片づけができない」は思い込みにすぎない

片づけが苦手な人の中には、「実家も汚いので、私には片づけができないと思っていました」「小さい頃から片づけができない子だと言われ続けていたので自信が持てません」とおっしゃる方がいます。

西崎彩智『人生が変わる 片づけの習慣 片づけられなかった36人のビフォーアフター』(朝日新聞出版)

確かに、親から片づけを習っていないと、自分も片づけが苦手になってしまうことはあります。また、脳の特性的に片づけが苦手な方は確かにいます。

しかし、片づけられないことをいつまでも何かのせいにしていては前に進めません。むしろ、あなたの子どもにも同じように連鎖しないよう、少しずつでもいいので、あなたが変わりましょう!

「○○のせいで片づけられない」と言っているのは、紛れもなく、片づけられないことを他人のせいにしている証拠。

言い訳をしている自分に気づき、できるところから始めましょう。

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