「家族=サザエさん一家」から変化している

今、この時代にも家族の形が変わりつつあります。

結婚の概念も変わりつつあります。実は人類史を見通してみると、家族の形はいつも変わり続けているのです。

日本人は家族と言うとサザエさんの家族みたいなものを想定しがちかもしれません。でも、いつでも家族の形は変わろうとしています。家族というのは人間関係のいわば素過程です。その素過程をもう一回見直してみながら、ここで家族というものの意味を考えてみたいと思います。

家族というのは、人間関係そのものの姿といえます。私たちは、自分で意思決定しているつもりでも、実は一人で決めているわけではありません。重大な意思決定なら、なおさらでしょう。家族が遠くにいて自分は独立していると思っていても、その人の心中に生きている家族が語りかけてきたりする。すでに家族が亡くなっていたとしてもそうです。

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血がつながっていれば家族なのか?

万引き家族』という映画があります。樹木希林さんの演じるおばあさんの家に息子家族のようにふるまう男女たちが同居している。実はこの中で誰一人として血縁もないし、法的な家族でもないことが、作中、明らかになっていくのですが、それなのにとても家族らしい。

血縁による家族が家族なのか。それともほかのつながりによる人間関係を基にすべきなのか。今の社会は血縁を重視しすぎなのではないか……。そんな裏テーマさえ感じられるような映画でした。

血縁、そして法によって保証された家族関係を重視するけれども、血がつながっていることだけが家族なのだろうか、そんなことを問いかけている作品でもありました。それが連れ去りなどというやや反社会的な形でつくられた擬似家族であるという点も挑戦的で興味深いといえます。

日本も変わってきています。家族をつくるどころかそもそも結婚をしない人が増えてきたのです。もはや家族の形が変わるというより、解体されていくのかもしれません。