丸つけはせず、「書く」にとにかく集中

2つ目の教材が、中学受験の国語限定の過去問です。

通称“銀本”と言われるもので、大学受験の過去問集を“赤本”と言いますが、その中学受験版です。銀本には公立中高一貫校向けのものや私立中高一貫校共学校向けのもの、男子校向けのものなどがあります。

6年生の春頃に私がなんとなく購入した国語の銀本が、指一本も触れられることなく本棚に入っていたのを思い出し、使用することにしました。漢字読み書き問題や抜き書き問題、選択問題は全部飛ばして、息子には記述式の問題だけを解いていってもらいました。

そして、ここが少し大事なところですが、「山川の日本史の要約」も「国語の過去問の記述」も、解答は正解でも不正解でも、まとまっていなくてもOKにしました。丸つけもしませんでした。

とにかく、「制限時間内に、書かれている問題文を整理して文字数内に書く」その一点集中。答えがわからないなら、「答えを見ながら書いてもいいよ」というくらいまで、「書く」ことだけに集中させるようにして、書きっぱなしで次の問題、また次の問題、次の要約……と取り組んでいきました。

写真=iStock.com/years
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過去の合格実績に基づく「1日2000字」

正誤にこだわって採点をしたり細かい確認作業をしてしまうと、私が採点する時間やそれを説明する時間で、5分、10分……と貴重な時間が失われてしまいます。

要約と記述問題、この2つを合わせて「1日2000字、書く」ことを目標に毎日続けました。残された時間がない中で“質より量”という選択しかなかったのです。

“2000字”という数には明確なデータによる裏付けはありませんでした。ただ、私の大学院受験時が、今回の麻布受験と似たような状況でした。試験日まで2週間しかないという中で受験を決意した私は、過去問など毎日2000字の記述トレーニングをして運良く合格しました。

筆記試験以外にレジュメや面接、経歴も影響するので私が筆記試験でいいスコアを取れたのかどうかは不明ですが、とにかく合格したという実績を出した2000字であることは確かです。麻布受験までに検証する時間もないので、「実績のあったものは何でも使おう」という背に腹は変えられない心境でした。