アナウンサーの赤平大さんは、発達障害と高IQの特性を持つ息子が小学1年生の時から二人三脚で勉強してきた。当初、発達障害に手厚い私立中学への進学を目指していたが、小学6年生の12月、「麻布中学に行けるなら行ってみたい」という息子の発言をきっかけに、難関校受験に挑戦したという――。(第3回/全3回)

※本稿は、赤平大『たった3つのMBA戦略を使ったら発達障害の息子が麻布中学に合格した話。』(飛鳥新社)の一部を再編集したものです。

勉強をする子供
写真=iStock.com/Marilyn Nieves
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残り2カ月で初の中学受験、さてどうするか

息子の“麻布宣言”を聞いた夜、私は焦りました。

「時間が少ない中で、結果を出さなければならない」
「これから塾に通ったりする時間もないし、そもそも息子は発達障害の影響で塾で勉強できないから自宅学習をしてきたわけだし……」

“いわゆる中学受験”をまったく考えていなかったので、試験まで2カ月で何を準備すればいいのか、その手掛かりがありませんでした。

「やるからには、勝てる道筋を必ず見つける」
「今ある戦力と限られた時間で、合格まで持っていくにはどうすれば……」

その時、頭に浮かんだのがMBAを学んだ時の恩師で、元ボストン・コンサルティング・グループ日本代表の内田和成教授(当時)の著書『仮説思考』。著書の中で内田教授は「仮説思考は限られた情報、少ない時間でベストな解を出す方法」と書かれていたことを思い出しました。

・限られた情報=私が麻布受験の知識が無いこと。
・少ない時間=麻布受験まで残り2カ月。

まさに私たちの状況にピッタリと当てはまっています。このタイミングこそ、仮説思考を使うべきだと判断しました。まずはネットの情報やSNS、動画などから麻布のことを調べてみると、2つのことが気になりました。

息子が苦手な記述解答の割合が非常に高い

1つ目は、麻布の試験問題は「思考力が問われる出題が多い」ということ。

息子は定期的に発達検査・WISCを受けてきました。その結果から、思考力が特に高いことはわかっています。

思考力が問われる麻布の問題に合っていそうですが、一方で息子は、「情報を処理する能力」が相対的に低いという結果も出ています。その影響で記述が極端に苦手な特徴がありました。

「数学検定」を1級まで取らずに途中で断念したのも、記述式の解答が書けなかったからでした。「全国統一小学生テスト」とは別に受けていた直近の日能研の模試でも、記述式の解答はほとんど書けていません。麻布の入試問題は「記述解答の割合が非常に高い」という特徴があります。

記述が壁となって、麻布の問題との相性は最悪だろうと思いました。