英語では「ナチュラルペニス」と呼ばれる
さらに言えば、仮性包茎のほうが性的感度は高いともいわれています。包皮は敏感な部分なので、割礼や手術でそれを除去したりすると感度が落ちるからです。色味も、仮性包茎だと普段からこすれる頻度が低いため、亀頭は多くの場合きれいなピンク色をしていますが、キレイにむけている人は徐々に茶色くなっていきます。
『愛されるペニス サイズ神話のウソ・ホント』(径書房)の56ページで紹介したアンケート結果を見ると、包茎で悩んでいる男性は少なくありませんが、仮性包茎はノーマル。恥ずかしいことではないのです。
英語では、手術していないペニスのことを「ナチュラルペニス」と呼ぶことを多くの泌尿器科の医師たちが言及しています。仮性包茎=普通(自然)のペニスなのです。この言葉が定着していくと、無駄に悩んだり、不要な包茎手術を受けたり、ペニスの美容形成手術で被害にあう人を減らすことにもつながるでしょう。
「仮性包茎」という分類があるのは日本だけ
そもそも海外には、仮性包茎という概念はありません。海外の論文は、割礼(circumcision)しているか、割礼していない(uncircumcision)かで分けられているだけ。割礼済みの人のなかには、もともと完全にむけている人も含まれます。
日本人男性は仮性包茎の人が大多数です。これは男児に割礼を施す習慣がないからですが、2007年にWHO(世界保健機関)が出したデータ(※1)によると、世界の男性のおよそ6割はかぶったまま。日本だけでなく世界でも仮性包茎が多数派なのです。
※1:Morris, B. J., Wamai, R. G., Henebeng, E. B., Tobian, A. A., Klausner, J. D., Banerjee, J., & Hankins, C. A. (2016). Estimation of country-specific and global prevalence of male circumcision. Population Health Metrics, 14, Article 4.
それでも日本では、最近、包茎手術が増える傾向にあります。衛生面に配慮して手術を選択している男性もいるのでしょうが、ペニスに自信がもてずにいる男性の多いことが影響しているのかもしれません。
泌尿器科のお医者さんは、ときどき「子どもの亀頭の成長に影響が出ることはありますか?」と聞かれるそうですが、その心配も一切無用です。仮性包茎によってペニスに悪影響が出ることはありません。
すでにお話ししたように、真性包茎とカントン包茎は、多くの場合、手術が必要になります。けれども、軽症の真性包茎なら、ステロイドの塗り薬だけで改善するケースもあります。ステロイドには、皮膚を薄くする作用もあるので、真性包茎から仮性包茎への改善が期待できるのです。重症の場合は、やはり手術が必要になるでしょう。
見た目を気にしなければ一般病院の泌尿器科で手術が受けられますし、保険が適用されるので、費用は数万円で済みます。