本来であれば人口増加は望ましいことだが…

全国有数の“人気タウン”と言える神戸市であっても、人口減少の波には逆らえない。神戸市の久元喜造市長は、2023年10月の定例会見で、去年10月1日時点の推計人口が150万人を割り込んだと発表した。

「以前から神戸市は人口減少傾向にあり、150万人を今年中に割り込む可能性が高いとお話をしてきましたが、今月10月1日時点の推計人口は149万9887人になりました。9月1日時点が150万693人でしたので、前月比で806人減です。これは少子高齢化の進展による自然減の傾向が継続しているためだと思います。

今求められていることは、この人口減少幅をいかに抑制するかということ、そして、人口減少時代にほとんどの自治体が直面しており、我が国も直面をしているわけですから、この人口減少時代にふさわしいまちづくりをどう進めるのかが大事だと考えています」

人口は、都市の活力の“バロメーター”とも言われる。増加すれば都市は繁栄し、減少すれば税収が下がり、必要な行政サービスを維持するのが難しくなる。まして激化する都市間競争の中では、有効な施策が打てない自治体は駆逐され、最悪の場合、“消滅”への道を進みかねない。

「人口増」の目標をたてるのは非現実的

人口減少への対策は、都市が生きるか死ぬかを左右する極めて重要な政策課題だ。当然、会見では記者から認識を問う質問が相次いだ。久元市長は次のように答えた。

「我が国の将来人口推計では、国立社会保障・人口問題研究所が出す推計が一番権威あるものとされていますが、日本の人口はこれからずっと減っていきます。こういう段階に入った国が、再び人口増に入る可能性はほぼない。これは、およそその道の専門家の間に行き渡っている見方です。

そういう中で、神戸市以外のほとんどの自治体にも当てはまることだと思いますが、神戸市が独自に人口増という目標をたてることは、非現実的でしょう。やはり人口減がこれから続く、人口減少幅をどれだけ抑制するかが現実的な政策目標だと思います」

写真=iStock.com/ChanwitOhm
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“今後、人口が増加に転じる可能性はほとんどない”という認識を示した久元市長は、真正面から現実の厳しさを自覚しているように思われる。それならば、タワマン建設という“魔法の杖”は喉から手が出るほど魅力的に見えるのではないか。その真意に迫るため、インタビューを行った。