多すぎる省庁職員を議会の政策スタッフに

日本の政府(中央省庁)と議会の関係を正しくするには、政治改革が必要である。与野党がまともな議論ができるようにする。存在理由のわからない弱小政党が乱立する現状は最低だ。与党も野党も、責任ある政治姿勢と周到かつ現実的な政策をもち、有権者の自発的な地方組織に支えられなければならない。

そのうえで、議会の機能を強化する。議会は、法律をつくれるのだから、議会の予算を増やして、中央省庁の職員を半分か三分の一にし、辞めた彼らを議会の政策スタッフとして雇用するのがよい。省庁の職員は、政府提案の法律案をつくって、実質的に立法に参画していた。それが正しい姿に戻る。国会の権限と機能が強まることは、国民の主権が伸長し、国民が政府を監督する能力が高まることである。

この、現状からはできそうにない改革が、どうやってできるか。まず誰かがとにかく提案する(本書のように)。そのとおりだと思う人びとが増える。そして、各選挙区で、有権者を組織して議席の獲得につなげる。国会で多数を握って改革を行なう。憲法は、これ以外のルートを国民に与えていない。この順序に従って改革するという、希望と熱意とビジョンを国民が持つことである。

政治改革の話をし出すと、話がいくらでも長くなる。もう何冊も、本が必要だ。機会を改めるとしよう。

生成AIでどうやって行政を変えるか

生成AIが企業のマネジメントを変えるように、生成AIは行政を変える。

けれども、生成AIが行政を変えるのに、少し手間取るだろう。なぜか。

マネジメントのやり方は、どの企業でも、だいたい同じである。ある企業でうまく行った生成AI系のマネジメント・ソフトは、少し手直しすれば、ほかの企業でも使える。生成AIを導入するのに小さなコストで済み、効果はすぐ目にみえる。経営にプラスになるし、企業の財務も改善することが数字に表れる。世界中で、あっという間に導入が進むだろう。

行政は、省庁と省庁で、やり方が違う。部署と部署でも違う。省庁の職員は、それぞれ別々の種類の業務に従事している。マネジメントと違って、ある部署の業務を生成AI系ソフトに置き換えたからと言って、別な部署で役に立つとは限らない。

ではどうする。

生成AIの大規模言語モデルに加えて、すべての省庁の行政文書の全体を電子化してデータベースにする。そして、生成AIソフトに学習させる。関係法令や先例もすべて学習させる。そして、ひとつの省庁、ひとつの部署を、企業や事業本部に見立てて、組織のヴァーチャルなモデルを組み立てる。手間と時間がかかるが、完成すれば、業務の効率化、透明化がはかれる。