行政サーヴィスはローカルからグローバルへ

世界の国々の行政サーヴィスが生成AIによって合理化されることは、世界の人びとにとっても、企業にとっても、利益が大きい。

行政サーヴィスはもともと、ローカルなものだ。その国の市民(だけ)に向けて、その国の法律にもとづいてサーヴィスを行なう。ほかの国と違った法律による、その国独自のサーヴィスだ。外国から来た人びとや、多国籍企業にとっては、なにかと不便が多い。その国ごとの事情に合わせなければならないから。

行政サーヴィスが生成AI系ソフトに支援されるなら、その障害が低くなる。

第一に、世界の国々それぞれの行政サーヴィスのなかみや根拠になる法令が具体的にどのようになっているのか、そのデータベースができあがる。移住予定者や進出企業が自分でいちいち調べなくても、ワンクリックで情報が手に入る。

橋爪大三郎『上司がAIになりました 10年後の世界が見える未来社会学』(KADOKAWA)
橋爪大三郎『上司がAIになりました 10年後の世界が見える未来社会学』(KADOKAWA)

第二に、生成AI系ソフトに乗るように、行政サーヴィスを見直し整えるので、それが合理的で可視的になる。ほかの国のやり方と比較可能になり、互いに似てくる。ローカルなルールだったものが、世界共通なルールに近づく。

第三に、移住予定者や進出企業や、国境を越えて活動しようとする人びとを、支援しようとする民間のサーヴィス会社が増えて、国際的な活動が便利になる。制度が似てくればあとは翻訳だけの問題になる。

それやこれやで、生成AIは、世界中のマネジメントを革新するのはもちろん、世界各国の行政サーヴィスや教育をも革新していくのである。

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