安いハンドル・タイヤロックは役に立たない

実は、盗難された車両のほとんどは有効な防犯対策がされていない。

自動車盗難情報局のデータには、盗まれた車両の「盗難対策の有無」を記す欄があるが、ここに有効な社外セキュリティが記されていることはほとんどない。

自動車盗難情報局に寄せられている被害報告の一部(※車のナンバー欄を加工)。盗難対策「ほぼなし」といった回答も目立つ

・盗難対策なし、ほぼなし
・施錠のみ
・ハンドルロック
・タイヤロック
・GPS(エアタグ等含む)
といった言葉が並んでいる。

ハンドルロックやタイヤロックは警察やディーラーが勧めている2万~3万円以下の安価で簡易的なものはほとんど役立たずである。

ハンドルロックは秒で切断されるし、最近ではハンドルそのものを切断してロックが外される例が後を絶たない。また、タイヤロックは有名メーカーの商品でも、装着したまま車を動かしてタイヤを1回転すれば破壊されて外れてしまう。

YouTubeには安価な防犯装置を実際に破壊して検証する動画も多数出ているので興味のある方は探してみてほしい。これを見たらいかにタイヤロックやハンドルロックが無意味で視覚的な抑止効果もないことがお分かりいただけると思う。ただし、詳しくは後述するが、ごくわずかだが防盗効果の高いタイヤ・ハンドルロックも存在する。

窃盗団はガレージの防犯対策を嫌がる

筆者はこれまで何度か、間接的ではあるが窃盗団に質問をして回答を受け取っている。

「盗難防止対策にお金をかけるとしたら、何にかけるべきか?」という質問に対する答えは、「ガレージにお金をかけるべき」ということだった。

車両保険がつけにくくなる旧車の場合も、ガレージがしっかり(壁で囲まれており施錠できるなど)していれば市場取引額相当の保険がつけられる。例えばスカイラインR32GT-Rは1989年発売の車だが、保険会社によって掛けられる車両保険の額は50万~800万円と大きな違いが出てくる。

しかし、そうはいってもガレージを整えるには多額のお金がかかるし、物理的に難しい場合も多々あるので、今回は本当に効果のある防止対策を4つご紹介したい。