あまりにもリスクが高すぎる

不同意性交罪の基準のあいまいさについての懸念に対して、寺田静参議院議員は「後から何か言われたらどうしようという懸念が残るうちは行為に及ばなければいいだけです」とコメントしているが、恋愛関係になって性交することができても、それすら(あとから両者の関係がのちに悪化してしまうなどによって)事後的に「あれはじつは不同意だった」と言われれば極大の法的・社会的リスクになってしまうような状況になれば、いったいだれがそんなハイリスクな営みにコミットするだろうか。男性は性欲でときに損得勘定がわからなくなるといっても、さすがに限度というものがある。

いちいち「これはセーフ?」と聞く男は魅力的か

さらに根本的なことを言えば、「ありとあらゆるリスクを排除して、女性に対して加害的にならないよう細心の注意を払いながら、おそるおそる恋愛にコミットする細々とした態度の繊細な男性」に対して女性が好意を抱くかどうかはまったく別問題である。

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……はっきり言ってしまえば、あまり好意を抱かないだろう。あえて言葉を選ばずいえば、そんなみみっちい男のことを、女性は魅力に感じないはずだ。

「いちおう確認だけど、これはセーフだよね?」「後でトラブルにならないために尋ねるけど、これは合意だよね?」「念のために訊いておきたいんだけど、これって嫌じゃないよね?」など、いちいち言質を取るような男性のことを喜ばず、それこそかえって「キモく」感じてしまうこと請け合いだ。これは女性にとって、男性との恋愛関係で得られる「楽しさ」を減らすことになり、結果的に男性との恋愛に対して魅力を感じなくなってしまう。