「訪日外国人からの収入はもう限界」

東京都内の飲食店などでも、外国人の多い繁華街などで、こうした二重価格を試みる飲食店も出始めている。そう、日本の「発展途上国化」は、もう始まっているのかもしれない。

大橋牧人『それでも昭和なニッポン 100年の呪縛が衰退を加速する』(日経プレミアシリーズ)

もちろん、お金はお金。入ってくるものはありがたい。観光収入は、現状、日本経済にとって、数少ない希望の星である。ただ、これだけ外国人観光客がお金を落としてくれても、国際観光収入から国際観光支出を差し引いた国際観光収支4兆2295億円は、5兆円を超えて急増するデジタル赤字を埋め合わせるには力不足だ。

働き手不足というボトルネックにより、既に稼働率が低下している宿泊施設も全国で相次いでいる。ホテルや旅館は、いくら立派な建物が出来上がっても、優れたスタッフがいなければ、宝の持ち腐れになってしまう。京都や鎌倉などでは、多すぎる観光客が路線バスや通勤電車を占領して、市民の生活に支障が出るなど、いわゆる観光公害問題も看過できない状況だ。

みずほ銀行チーフマーケット・エコノミストの唐鎌大輔氏は「訪日外国人からの収入は、もう限界に来ている」と警鐘を鳴らす。働き手不足と観光公害がこれ以上進めば、少なくとも主要観光地では、外国人訪日客の誘致も不可能、という日がやってくるかもしれない。

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