コツを押さえればどれだけでも読める

相談者の方は、せっかく本を読むことにトライしたのですから、ぜひ継続されてください。コツを押さえて慣れていけば、どれだけでも読めるようになります。

上司の方は、頭を抱えられたとのことですが、冒頭でも述べた通り、相談者の方はよい本の選び方をされました。

写真=iStock.com/Chinnapong
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読むスキルは4つのステージに分かれる

読むスキルに関する以下の分類を見てみましょう。

ステージ4
どんな本でも日常的にすばやく読める

ステージ3
新聞記事、雑誌記事が読める
気が向いたときには、簡単な本が読める

ステージ2
短い文が読める(スマートフォンの画面、Eメールなど)

ステージ1
文字が読める

「読むスキル4つのステージ」
松崎久純『大学生のための速読法 読むことのつらさから解放される』(慶應義塾大学出版会)より

これは、私たちの読むスキルを4つのステージに分類したものです。

ステージ1は、文章ではなく、文字を認識できるかどうか。ステージ2は、短い文章、特定の人との通信文などは読める段階です。

相談者の方は、これまでステージ2におられましたが、今回ステージ3の本を1冊読まれたことになります。

ステージ3のものは苦手とのことでしたが、ステージ3のものを読めるようになるには、ステージ2のものをいくら読んでいてもダメで、ステージ3のものにトライして慣れていかなくてはなりません。

今回、ご自身にとって「読みやすいもの」「興味のあるもの」を選んだのは正しい選択です。

私たちは、「読んだ」「読破した」という経験を重ねることで、上達していきます。ここで関心の持てない本を選ぶとイヤになりますから、読みたくない本を手に取ることはお勧めしません。

少なくとも、読みやすいものを読みつけて、少し難しいものにチャレンジしてもいいと思うようになるまでは、ムリをすべきではありません。