休みは「逆算思考」で捉える。「疲れたから休む」ではなく「疲れそうだから先に休んでおく」
――休みと聞くと「休日」を想定する方も多いと思いますが、効果的に休むうえで、「休日」をどう捉えればいいのでしょうか?
片野:休日は平日の疲れをとる日ではなく、「平日疲れそうだから先に休んでおく日」と捉えればいいと思います。
例えば、いしかわさん(聞き手)は1週間のうち、平日5日間と土日2日間をどのように位置付けていますか?
――月曜日から金曜日を走り抜けたあと、土日に休んで疲れを取る、という感覚でした。
片野:ほとんどの人はそうした、平日のあとに土日が来る「ウィークエンド思考」のなかで生活をしているのではないか、と思います。
でも、それだと木曜日や金曜日の過ごし方が「ここを乗り越えたら休める!」という発想になってしまいますよね。するとどうなるか。出勤しているにもかかわらず、パフォーマンスが上がらない“プレゼンティズム(心身の不調を抱えて仕事すること)”の状態に陥るんですよ。
なので、平日にやらなければいけないタスク、達成しなければならない目標から逆算して、土日にどれくらいの活力を蓄えればいいのかを考えるのが合理的と言えます。十分に休んだ状態で、仕事のピークに突入するほうが良いパフォーマンスを発揮できますからね。
だからこそ、長期休暇や有給休暇も大事な予定や繁忙期の「前」に取ることをオススメします。
――疲れる前に休む。その発想はなかったです。でも、「先に休む」というロジックで、上司をうまく説得できるかどうか……。
片野:休むこと=怠けることではありません。むしろ、しっかりと休みを取って疲れていないベストな状態で仕事をするのは、社会人としての責任だと思うんです。
病気になる前に、身体から出るシグナルが3つあります。それは発熱、痛み、疲労です。発熱と痛みは症状がハッキリしている分、周囲の理解が得やすい一方で、「疲れているので休みます」という理屈はなかなか理解が得づらいのが現状です。
でも、疲れたまま会社に行ってパフォーマンスが出せなかったら、熱が出ている状態と同じですよね。
携帯電話だって、30%や50%のバッテリー残量で使うより、100%充電できている状態で使ったほうがスムーズに動くはずです。
――たしかに……。
片野:つまり、社員が適切に休まないことは会社にとってもデメリットしかないんですよ。
たとえ休むことに抵抗があっても、今の状態で本当にパフォーマンスが出せるのか、自問自答し続けるのが大切だと思います。