パーキンソン病の治療薬の副作用

そこで、まずパーキンソン病の治療薬について考えていきましょう。

パーキンソン病というのは、中脳の黒質という部分の神経細胞の数が減少し、黒質で作られる神経伝達物質のひとつである「ドーパミン」が減少してしまう神経変性疾患です。

その症状は、運動障害といったものが顕著です。たとえば、手が震えたり、筋肉がこわばり手足の動きがぎこちなくなったり、動かすのに時間がかかったり、バランスをとる反射がスムーズにできなくなったりします(これらを4大症状「振戦」「筋固縮」「無動・寡動」「姿勢反射障害」と言います)。

進行はゆっくりですが、最後には、立つことも歩くこともできず、日常生活に全介助が必要な寝たきりとなってしまいます。

故・永六輔さんが闘った病としても知られています。前向きな永さんは、歩行障害で車椅子になっても、ありのままの姿を見せて、テレビのインタビューで、「(僕は)パーキンソンのキーパーソン」と言っていました。しかし日々動作能力が低下していくこの疾患は、決してたやすいものではないのです。

この治療薬として処方されるのが、脳内で不足するドーパミンを補う薬物で、代表的なものが、レボドパです。しかしこれは、「運転注意薬」とされています。

「運転注意薬」とは、文字通り服用後の運転に注意が必要な薬のことです。

もし意識障害が運転中に起きたら

他に、プラミペキソールという薬もあります。こちらの場合は、運転中に突発的な睡眠が起こることがあるため、「運転禁止薬」に指定されています。

このように、パーキンソン病の治療薬には、運転注意薬と運転禁止薬があるのです。

運転注意薬とされる血圧降下薬やコレステロール降下剤などなど、飲んでいる薬は4〜5種類、という人はそう少なくないと思います。

そんな人がある日急に、頭がぼんやりして、意識がおかしくなってしまう。これが意識障害の怖さです。もし家にいる時に起きたら、周囲は慌ててしまうことでしょう。

「あそこに誰かがいる!」とか「虫がいっぱい這っている!」といった幻視や、「誰かの声が聞こえる!」といった幻聴で騒ぎますから。

とうとう、ボケてしまったと思うかもしれません。しかしこれは数時間のうちに収まります。というのも、それは、「せん妄」という意識障害が引き起こしたものだからです。

あぁ、よかった、認知症ではなくて。薬の副作用だったのね。と安心することでしょう。

しかし、この意識障害が運転中に起きたら、どうなるでしょうか。