社内政治、ネットの必須業務化で人材流出

元理事を復職させたのは、NHKの苦しい事情があるのかもしれない。人手不足に陥っているのだ。デイリー新潮も昨年末に報じていたように、このところ退職者が続出している。

NHKの退職者が「年間70人→155人」と4年で倍増 若手だけでなく年収1000万円超えの管理職も「やってられない」と辞めていくワケ(2023年12月29日)

2023年に会長が稲葉延雄氏に交代した。この時、前の会長寄りだった職員は「前田派」とみなされ次々にパージされたのだ。トップが変わることでその下の人々も処遇が変わることはよくあることかもしれない。ただ昨年から起こっているのは一部の職員が「粛清」と呼ぶほどのもので、これまでに例がないほどだという。

さらには、昨年決まった放送法改正に則ってネット業務が「必須業務化」されるのだが、ネットでの情報は「放送と同一」のものに限定される。放送していない情報はネットで出さない。その方針に異を唱える人々も「粛清」されているとの噂だ。さらにはそんな職場の空気に嫌気がさして辞める人も多い。実際に退職した人々を私も知っている。

不祥事の始末も付けられないボロボロ組織

だからあちこちで人手不足に陥っており、国際放送は人気がないので輪をかけて人が足りないのだ。元理事が復職して国際放送の現場仕事をやるのかは定かではないし、どうやらあちこちの仕事を手伝うのがミッションのようだが、彼が戻ることで国際放送も回るようになるのかもしれない。

こうして見ていくと、いまのNHKはマネジメントがボロボロだと言っていい。国際放送では不祥事を起こすし、その始末もまともにできていない。「粛清」などという物騒な言葉を発する職員もいるし、退職者続出で急性の人手不足に陥っている。

最近はニュースを見ていても軽薄に見えて仕方ない。大谷の50-50達成の日の「ニュース7」の浮かれぶりにも呆れた。国民からの受信料で成り立っているNHKは中身の薄い公共広報機関になりかけている。「公共放送」の新たな位置付けを蔑ろにしてきたツケがいま、回ってきている。

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