意外にお買い得! 人脈豊富な日大
大学の実力に、人脈が密接にかかわる具体例を紹介しよう。
オバタ氏は「早稲田と慶應を比べると、慶應のほうが伸びるだろう」と言い切る。理由は慶應の校友会である「三田会」の存在だ。「三田会の団結力には舌を巻く。先輩が仕事はもちろん、私生活の面倒まで見てくれ、結婚相手を紹介してくれるケースさえある。まさに家族ぐるみ、一生の付き合いだ」(島野氏)。
中堅ランクの日東駒専(日本、東洋、駒澤、専修)では「日大がおすすめ」(島野氏)。マンモス校の代表格で伝統があり、校友会組織もしっかりしている。恵まれた人脈を生かせるせいか、上場企業の社長、役員の数でも一流大学に引けをとらない。偏差値のわりに“お買い得”な大学なのだ。このことから、同じ偏差値の大学なら、総合大学、歴史の古い大学を選んだほうがいいといえそうである。
女子大が意外に健闘しているのも人脈を武器にしているから。
「女子大OGはまとまりがよく、就職も熱心にバックアップしてくれる。とりわけ、管理栄養士や保育士などの専門職には強い」(オバタ氏)。お茶の水女子大、日本女子大、東京女子大、津田塾大といった歴史ある名門女子大は依然、根強い人気だという。「ブランドのある女子大はむしろ、今後も共学化には踏み切らないのではないか」(島野氏)。そのほかにも、伸びが期待されている大学を挙げてみよう。
「MARCHでは、大学ぐるみで就職支援に力を入れている明治大、立教大が頭一つ抜け出てきた。明治大は公務員試験や資格試験にも強い。立教大はミッション系ながら堅実なイメージで、卒業生への評価も高い」(島野氏)MARCHに次ぐランクでは、成蹊大が注目株。島野氏は「小規模とはいえ総合大学であり、若者の人気スポットである東京・吉祥寺にキャンパスがまとまっている。学力にも定評がある」という。総合大学ではないが、ミッション系名門校である国際基督教大学(ICU)も見逃せない存在で、オバタ氏は「学費が高いため、人気はいまひとつだが、少人数制で教育水準が高い。語学に強く、卒業生の実績もある。小粒ながら一定の評価を得ていくだろう」と見ている。一方、総合大学、単科大学にかかわらず、手に職をつけられる大学も、長引く不況で人気をキープしそうだ。
1つは国家資格が取得できる大学・学部。とりわけ就職や開業に直結する“使える”資格がポイントになる。「文系で台頭しそうなのは中央大。司法試験はいうまでもなく、公認会計士の合格率も高い。税理士、弁理士といったほかの資格試験にも力を入れれば、早慶に肩を並べることも夢ではない」(オバタ氏)。高齢化を受けて医療系の人気も底堅い。卒業と国家資格取がセ得ットで、食いはぐれがない。なかでも増設が盛んな看護学部は要注目。「医療の高度化のなか、看護師のレベルアップは時代の要請だ。さらなる躍進が期待できる」(オバタ氏)。そのほか獣医師を養成する獣医学部も安泰だろう。
もう1つは即戦力となる理工系。学生数が限られているため、卒業生は引っ張りだこだ。東京工業大といった一流大学だけでなく、「東京電機大、芝浦工業大、東京都市大(旧武蔵工業大)といった中堅校も、研究室単位でメーカー採用の推薦枠が確保され、就職には困らない」(島野氏)という。