しかも、日産の平均年齢は42.8歳。同業他社では43.6歳のホンダに次いで“高齢化”が加速しており、労務コストの負担増は避けられない。だが、働き盛りでもある40歳の推定年収を比べてみると、日産(645万円)は、トップのトヨタ(785万円)とは140万円の大きな差が開いているほか、いすゞ(686万円)、ダイハツ(682万円)、ホンダ(670万円)、日野(666万円)よりも下回る。日産の賃金体系は、必ずしも年齢が高くても年収が多くなるとは限らないことがわかる。
一方で、自動車メーカー10社のうち、平均年収が最下位はスズキで565万円。独VWとの提携解消問題やこの夏、インドの主力工場で従業員らによる大暴動が発生するなど業界では“お騒がせ企業”である。そのスズキは40歳や50歳時点での推定年収、生涯賃金では、無配転落中の三菱自動車や、4期連続の赤字となったマツダよりも上回っている。スズキの場合、外資系に多くみられる成果主義ではなく「右肩上がりの緩やかなカーブを描く年功序列型」(スズキ幹部)の賃金体系を維持しているからだ。
円高が長期化するなか、海外生産が相次いでいるが、現地では従業員が待遇改善を訴える傾向が強まっている。進出企業との間の賃金格差も新たな課題として浮上しており、賃金体系の是正が求められる。
※すべて雑誌掲載当時