年収データは東京商工リサーチ。2012年6月末時点の有価証券報告書を集計。証券取引所の定める新業種分類33業種のうち、輸送用機器に分類された101社から抽出した。業界トップはブレーキ部品など自転車部品で世界首位のシマノ805万(平均年齢41.1歳、従業員数1145)。
急回復する自動車業界の底力
記録的な超円高が定着し、東日本大震災、それに伴う原発事故での節電対策やタイが洪水被害に見舞われるなど、この1年余、自動車業界はリーマン危機を上回るほどの逆風にさらされた。が、大手自動車メーカーの2012年3月期決算は、円高や減産の影響が大きかったトヨタ、ホンダ、富士重工は減収減益となったものの、日産、ダイハツ、日野の3社は増収増益となり、スズキ、三菱自動車、いすゞも営業増益を確保。苦戦する電機などを尻目にいち早く回復した自動車が、日本のものづくりの底力を世界に見せつけた。
中でも日産は、逆風下にもかかわらず、中国、メキシコなど新興国市場の販売が好調で、最終損益でトヨタ、ホンダを抜いて、国内勢で初めてトップに立った。ただ、昨年度の報酬が9億8700万円の高額を手に入れたカルロス・ゴーン社長らの経営陣は、その恩恵を十分すぎるほど受けたと見られるが、現場で汗を流して好決算を支えてきた一般社員まではなかなか浸透していなかったようだ。
平均年収をみると、日産は前年に比べ21万円増えて705万円に回復したが、ホンダ(747万円)やトヨタ(740万円)、さらに、部品メーカーで首位のデンソー(768万円)や自転車部品や釣り具が好調のシマノ(805万円)よりも大きく下回っている。