「自分へのご褒美をいろいろ買うから、貯金に回せるお金は毎月ほとんど残らない。結婚はいつかするかもしれないけれど、いまハッピーなことのほうが大事じゃない?」と、パクは言う。

若者の意識につて本誌は在米韓国大使館に書面でコメントを求めたが、今のところ回答はない。

アメリカの非営利調査機関、人口問題研究所のジェニファー・シューバCEOによると、東アジアでは結婚すれば子供を産むのは当然と考えられ、家庭を持ってようやく一人前の大人と見なされる風潮があったが、今の若い世代の間ではそうした意識は薄れているという。

「特に女性にとって結婚は生計手段でもあったが、今ではそういう考えも廃れている」

若年層の意識は上の世代の意識とはギャップがあり、政府がいくら少子化対策の旗を振っても、現状では効果は期待できそうにない。

韓国女性家族省が昨年実施し、今年5月に発表した調査によれば、13〜24歳の回答者のうち、「結婚は必要」と答えた人は38.5%で、2017年と比べ12.5ポイントも低下した。しかも10人中6人は「結婚しても必ずしも子供を産む必要はない」と回答した。

厳しい住宅事情や多額の教育費が掛かる受験競争といった現状が変わらない限り、若い世代が結婚・子育てに消極的になるのも無理はない。特に働く女性にのしかかる子育て・介護負担は大きく、現金支給や育児休暇など現行の子育て支援策では、出生率上昇は望めないと、シューバは指摘する。

当記事は「ニューズウィーク日本版」(CCCメディアハウス)からの転載記事です。元記事はこちら
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