韓国で日本産のウイスキーや日本酒が話題になっている。輸入ビールの分野は、すでに日本ブランドのビールが長い間、圧倒的なシェアを占めている。それを追いかけるように日本ウイスキーの人気も急上昇中だ。さすがに日本酒までは……と言われていたが、ここにきて、日本酒をたしなむ韓国人も急に増えてきているようだ。なぜ?
まずは日本ウイスキーの最新事情から。
筆者は5月上旬、自宅に近い大型スーパー「イーマート」に出かけた。酒類コーナーを通るとき、思わず目を疑った。ウイスキー売り場に「サントリーウイスキー角瓶」が置かれていたからだ。日本人は意外に思うかもしれないが、これは韓国の消費者にとっては驚くべきことなのだ。国内のスーパーで角瓶を目にしたのは、実に約2年ぶりだったからだ。
角瓶ハイボールで供給不足に
角瓶は、2019年までは韓国の一般のスーパーでも簡単に買うことができた。日本への旅行で角瓶のハイボールの味に魅了された韓国人もかなりいて、角瓶の売り上げは好調だった。
ところが、コロナ禍でサントリーのウイスキー生産量が減少、そこに加えてコロナ禍での家飲みで角瓶ハイボールを楽しむ人が増え、供給不足に陥ったのだ。
角瓶の輸入がほぼストップし、追加料金を払ってリカーストアで5万ウォン(約5700円)で個人取引するケースも出た。インターネットコミュニティーでは、角瓶の販売店の情報が拡散したりもした。
角瓶人気がけん引役を果たしたのか、日本産ウイスキーの販売量が増加した。韓国関税庁の統計によると、2018年の日本産ウイスキーの輸入量が約100トン(輸入総額158万ド)だったのが、21年は396トン(316万ドル)、22年は533トン(415万ドル)、23年は897トン(799万ドル)と毎年大きく増えている。
今年はこれに角瓶が加わる。記録が更新されるのはすでに決まっているともとれる。実際、関税庁の統計によると、日本産ウイスキーの輸入量は1~3月ですでに396トンに達している。