ただし、ここで注意しなければならないのは、「キャッシュ・フロー」と「利益」は異なる概念であるという点だ。

支払い役のキャッシュ・フローが、4万5000円のプラスだったとしても、それは決して利益ではない。翌月の10日には、その4万5000円に自分のワリカン分である5000円を加えた5万円の決済を行わなければならない。したがって、クレジットカードの決済期日まで、4万5000円は単なる預かり金にすぎず、資産が増えたわけではなく負債扱いになる。損益という視点で考えれば、支払い役になった人も、そうでなかった人と同様に、5000円の「損失」になるのだ。いま手元にお金があることと、儲かっていることは別なのである。

当然、損失が積み重なってくれば、やがてキャッシュ・フローも回らなくなってくる。大事なことは一定の利益を計上しながら、潤沢なキャッシュ・フローを維持することであり、本当の意味で数字を見ていくには、「キャッシュ・フローの視点」と「利益の視点」というように、複眼的な見方をしていく必要がある。

ワリカンの支払い役になって手元に集まった現金で法外な買い物をしてしまえば、翌月、引き落とされたときに貯金が大きく減ってしまうのと同じである。

答え(A)
公認会計士 山田真哉 
1976年、兵庫県生まれ。大阪大学卒業後、一般企業を経て、公認会計士2次試験に合格。現在、公認会計士山田真哉事務所所長。『食い逃げされてもバイトは雇うな』などベストセラー著書多数。
(構成=鈴木雅光 撮影=澁谷高晴)
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