6件の異なる世論調査でハリスがドナルド・トランプ前大統領をリードしていることからすれば、それはうまくいっているようだ。だが、グティエレスによれば、ハリス陣営は現状に甘んじることなく、勢いを加速していかなければならない。

「最近の世論調査でハリスがトランプに対して優位に立っているのは、彼女のデジタル・キャンペーンの効果によるところが大きい。しかし、トレンドコンテンツの賞味期限はせいぜい10日程度だ」

「ハリスの優位は意外ではないが、確実なものでもない。それはハリスのデジタル戦略担当者が心に留めておくべきことだ」

この一風変わった政治戦略によって、ハリスは有権者と親密な関係を築き、彼女の選挙運動との一体感を感じさせることができた。これにより、彼女に好感を抱かせるだけでなく、「感情的な結びつきを強める」効果もあるとグティエレスは言う。

しかし、効果はここまでかもしれないし、逆効果になる可能性もある。

「潜在的なメリットはあるものの、ハリスと彼女のチームは、砕けすぎた印象を与えないように注意しなければならない」と、グティエレスは本誌に語った。「あまりにも型破りなやり方は、ハリスのイメージに悪影響を与え、他の有権者を遠ざける可能性がある」

「世間に対してバランスをとることはきわめて重要だ。ソーシャルメディアとの関わりで、信頼性や選挙運動の認識が損なわれないようにすべきだ」

ハリスは自分らしさ満開のブラットな夏を過ごしているかもしれないが、有権者を惹きつけておくためには、もっとやらなければならないことがある。秋になったら、彼女はどんなシーズンを過ごすのだろうか?

当記事は「ニューズウィーク日本版」(CCCメディアハウス)からの転載記事です。元記事はこちら
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