⑥ 失業給付は「64歳11カ月」退職で最大化→給付額が数十万円増
退職後に新たに仕事を探すときに役立つのが「失業給付(雇用保険の基本手当)」と「高年齢求職者給付金」です。65歳未満での退職は失業手当、65歳以降での退職は高年齢求職者給付金がもらえます。
失業給付・高年齢求職者給付金の金額は、退職前6カ月の賃金合計を180で割った「賃金日額」に、所定の給付率をかけた金額(基本手当日額)です。
ただ、失業給付と高年齢求職者給付金ではもらえる日数が違います。失業給付は、自己都合の場合最長で150日分もらえますが、高年齢求職者給付金の場合は30日または50日です。
よって、失業給付を受け取ったほうがお得といえます。
たとえば、賃金日額が1万円、雇用保険の被保険者期間が20年以上の場合
・失業給付(離職時の年齢60歳〜64歳)
基本手当日額5096円×150日=76万4400円
・高年齢求職者給付金(離職時の年齢65歳以上)
基本手当日額6102円×50日=30万5100円
と、約46万円もの差が生じます。
失業給付を最大化したいならば、65歳未満で退職すればいいのですが、同時に特別支給の老齢厚生年金をもらう場合や、年金の繰り上げ受給(年金を65歳より前に受け取り始めること。年金は60歳から受け取れるが、1カ月早めるごとに0.4%ずつ減額される)をする場合、年金の支給が停止されます。
64歳11カ月で退職すれば、65歳以降に失業給付も受け取れ、65歳からの年金も減額されずに受け取れます。しかし、これはあくまでも、失業時の給付金を最大化する方法です。
会社によっては65歳より前に退職することで退職金や賞与が少なくなる場合もあるので、事前に確認しましょう。
⑦ 公共職業訓練を受けると失業給付日数延長→給付額数十万円増
失業給付をもらいながら「公共職業訓練」を受けると、失業給付の給付日数が延長されます。公共職業訓練の科目は情報処理、建築、電気、Webデザインなどさまざま。受講期間はおおむね3カ月から2年となっています。受講料は無料(別途教材費など、実費負担あり)。自費で専門学校に通うより費用負担が少なくて済みます。
失業給付の延長を受けるには
・所定給付日数の原則3分の2を終了する以前に受講開始する
・受講期間が2年以内のコースを受ける
・過去1年以内に公共職業訓練を受けていない
といった条件があります。
たとえば、失業給付で日額5000円、150日間受け取れる人がいたとします。この人がもらえる失業手当は5000円×150日=75万円です。
失業手当の受給期間を60日残して6カ月(180日)の公共職業訓練を受講した場合、この公共職業訓練が終わるまで訓練延長給付をもらうことができるので、5000円×(150日-60日+180日)=135万円と、60万円も増えるのです。
そのうえ、公共職業訓練では「通所手当(訓練施設への交通費・最高4万2500円)」「受講手当(公共職業訓練を受講することでの手当・1日500円、上限2万円)」「寄宿手当(家族と別居して受講する場合の手当・月額1万700円)」ももらえます。
さらに、公共職業訓練を受講すれば、失業給付の給付制限期間(2〜3カ月)がなくなり、失業認定日にハローワークに足を運ぶ必要もありません。
定年前後にはやらないと損する手続きがたくさんあります。適切な手続きをするかしないかによって、手取りで数百万円の差がつくことも。
自分ができる手続きはもれなく行い、お金で後悔しない人生を送りましょう。