育て方にもマニュアルは存在しません。人の子どもを育てるのと同じですよ。だいたい僕は人間と動物、あるいは動物同士でも比較することが嫌いで、キザな言葉でいえば「愛は比べないことにある」と思っています。ところが、政治の世界では仕分け屋なんてものが幅を利かせている。「一番でなく、二番ではダメなんですか?」という蓮舫にはあきれますよ。学問をする人は、一番か二番か、利益をいくら上げるかなんて最初から考えていません。真実を探そうと真っ暗闇の中でこつこつと研究している。そんな彼らに向かって、口先だけで値踏みするようなことを言うとは、頭の中が空っぽだとしか思えません。僕はどんな動物だって飼うけれど、蓮舫だけはお断りです。
大切なのは動物といっしょに生きていくこと。自分の子どもが初めてプールで泳ぐとき、「溺れないかしら」って親はどきどきしながら見守るでしょ。これがいっしょに生きるということで、犬だったら夏場の散歩で焼けているコンクリートの上を歩くときに「この子の足は大丈夫かな。やけどしないかな」って心の奥底から感情がわき上がってくる。これが本当の愛情で、犬はそれを感じ取る。
動物はものをいわないので、ある意味人の子を育てるよりもわからない部分が多い。だから彼らの表情や仕草をじっくり観察して大いにはらはらしたり、どきどきしてください。
畑 正憲
1935年、福岡県生まれ。58年、東京大学理学部卒、同大学院で運動生理学を専攻。動物記録映画制作を経て、68年、作家に。