スマホアプリを使えば「外部足場」を作りやすい
行動記録表を毎日付けることには、私たちにとっても自分の行動に対する解像度を高める効果があります。自分の行動データが蓄積されることで、たとえば、睡眠時間が5時間以下の日はパフォーマンスが上がらない、といった自分の傾向がわかってきます。すると、「こういうときはこうなるだろう」という自分の行動についての仮説が立てられるようになります。このように行動記録表は、自分自身を観察し、理解するための「外部足場」として役立ちます。
誰でも取り組むことができる行動記録表ですが、一つ欠点があります。それは、行動を記録するのが面倒なことです。その対策として、あらかじめ作っておいた予定表に修正を書き込む形で行動を記録する方法があります。そうすれば、記録の手間を省くことができますし、計画通りに行動すればするほど修正する面倒が減るため、計画を守ろうとする意識が働きます。また、行動を記録できるスマホアプリを活用することも、記録の手間を減らすための一つの方法です。
なかには、勉強や読書を始めたいと思いつつ、なかなか重い腰が上がらないという人もいるかもしれません。そのような人は、行動記録表に、その周辺の行動も記録するとよいでしょう。専門書を読んで勉強したいと思いながらなかなかできない場合、行動記録表にゼロの時間が続くと嫌になってしまいます。そこで、「専門書の背表紙を見た」「専門書を読むことについて考えた」という程度のことでも拾い上げて記録するようにします。このように、小さな段階を踏み、少しずつ達成感を得ながら新しい行動を定着させる方法を「シェイピング」といいます。
しかし、真面目な人の場合、これと逆の行動をしがちです。たとえば、最低でも30分やらなければカウントしないと決めて、5分しか勉強や読書ができないとゼロ扱いにしてしまうのです。たとえわずかな時間であっても、切り捨ててしまわずに記録することが大切です。時間のカウントはできるだけ甘くしたほうが、後々時間を増やすことにつながります。
独学を始めて、もし途中で失敗や挫折をしたとしても、行動記録を取っておけば、それは自分に最適化された教材になります。どんなことに、あるいはどんなふうに取り組んでダメだったのか、しっかりと記録しておけば、そのデータの蓄積をその後の独学のやり方の改善に役立てることができます。
そもそも失敗や挫折は、早めに経験しておいたほうが、かすり傷程度で済み、早く立ち直ることができます。失敗や挫折を恐れずに取り組みましょう。