ナトリウムイオンは大事な働きをしている
細胞は細胞外液という液に囲まれています。
ナトリウムイオンは細胞外液に多く含まれている一方で、カリウムイオン(K+)は細胞内液に多く含まれていて、これらが行き来することによって発生する電位(電気的なエネルギー)や、細胞の中と外の濃さのバランスなどによって様々な信号が伝達されることで、細胞組成が成り立っていたりします。
ナトリウムイオンは、神経伝達物質としても大事な働きをします。熱いものを触った時などにも急いでその刺激を脳に伝えたり、脳から手や足を動かすように筋肉に命令を伝えたりするために、神経を伝ってゆく電気信号のやりとりに、このナトリウムイオンが必要なのです。
血液中にもナトリウムイオンは溶けています。塩素イオン(Cl-)と結合した塩化ナトリウム(NaCl。まさに塩分の主成分)が大体0.9%の濃度で溶けているものを生理食塩水と呼びますが、血液の代わりに使用することができます。
日本の塩分摂取基準は甘い
こんなに様々な大切な仕事をするナトリウムイオン(あるいは塩化ナトリウムないし塩分)ですが、実際に食事から摂取することについて考察してみることにします。
先ほども申し上げた通り、我々がずっと主に口にしてきた和食は塩分が高め。世界基準の塩分摂取量の推奨目安と、日本人の実際の塩分摂取量を見ながら考えてみましょう。
まず、WHO推奨塩分摂取1日基準量は5g未満です(※1)。
一方で、厚生労働省による「日本人の食事摂取基準」(※2)の1日塩分摂取量(食塩摂取量)基準は、男性7.5g未満、女性6.5g未満となっています(高血圧や腎臓病などの基礎疾患のある方は、別途基準が設けられています)。
※1 https://www.who.int/data/gho/indicator-metadata-registry/imr-details/3082(Cited 2023 Aug 20)
※2 https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/000760248.pdf(Cited 2023 Aug 20)