3段階目の「厳しく叱る」は封じ手
段階的な叱り方については、理論上もうひとつ上の「厳しく叱る」というレベルがあります。ただ、そちらはあくまで「理論上」であって、現代社会では、実際には使えない「封じ手」です。例えば、先のミーティングに連絡なしで遅刻してくる新人に、ピシリと叱っても再発したとします。「厳しく」のレベルになったら、
【上司】「君は参加しなくていい。席に戻って仕事してくれ。後で話そう」
【新人】「いやこれには理由がありまして」
【上司】「いいから戻って仕事をしてくれ。話は後だ」
という感じになるでしょう。しかし、これは新人が総務部に「会議への参加を拒否された」と訴えた場合、上司のほうが責められる可能性があり、さすがにリスキーです。レベルIIIの状態になる可能性が高い場合は、管理職も自身の上司や総務・人事部門に対応を相談し、連携しながら対応を決め、組織的に進めるほうがよいでしょう。
このように、段階的な叱り方のイメージを作ってきましたが、大切なのは実はレベルIです。レベルIで行動が改善されれば、レベルIIはやらなくて済むからです。レベルIも躊躇してしまいそうな方は、新入社員のよくない行動を見かけたときに「どうした?」のひとことをかけるだけでも効果があります。「その行いを私は気にしている」というメッセージになるからです。叱られ慣れていない令和時代の若者には、それだけでも効果があります。
よくない行いを見かけたら、1度目から注意。
それが、一流への一歩目です。