実はスマホ用に最適化された文章には、「読んで」理解よりも「見て」理解のほうがやりやすい特徴があります。その意味ではスマホでトレーニングをしたほうが効果的ともいえます。「読む」→「見る」を切り替える感覚が摑みやすいでしょう。難点は横書きが多いことです。書籍は縦書きが基本なので、書籍の速読を目標とする場合は、縦書きの雑誌でトレーニングしたほうがいいでしょう。

本を読んだときの認識レベルには、4段階あります。レベル1では、文字が多く書かれているか、数字や記号が多いかが認識できます。レベル2は、見たことがある文章かどうかが認識できます。レベル3は、知っている言葉と知らない言葉を分けて認識できます。レベル4は、言葉や文章の意味が明確にイメージできます。速読の場合、まずはレベル2~3で十分です。しかし初心者は1で止まってしまうことが多いです。2~3に引き上げるには、トレーニングが必要です。トレーニングすることで、文字を見たときに「何が書かれているか」を理解する瞬間認識力が上がります。

「1文字でも多く認識してやる」

トレーニング方法の一例が「高速ページめくり」です。1冊を5秒や8秒、10秒と、短い時間で何回もめくり、何が書かれていたかを読み取るトレーニングです。はじめのうちは、何が書かれているかわかりませんが、繰り返すうちに目が高速に慣れ、だんだん認識できてくるのです。

まずは、縦書きでソフトカバーの本を用意します。新書サイズであればより使いやすいでしょう。内容は自分の知っている分野のものが理想です。何がよいかわからない場合には、小説を選んでください。自分が馴染みのある分野や小説には、イメージしやすい言葉が多く使われています。何が書かれているかをイメージしやすくなります。

準備ができたら、本の下側の角を右の手のひらにのせます。親指と人差し指で表紙を支えて、片手で本を持ちます。次に左手をページに添えて、右手の手首を返すようにして、ページをパラパラめくっていきます。1冊分を1~2秒の高速でめくりながら、最初から最後のページまでを眺めていきます。これを60秒ほど繰り返します。

それが終わったら、少し速度を落とし、1冊分を4秒程度でめくります。これも60秒程度繰り返したら、次は1冊分を8秒程度のスピードで、再度60秒程度繰り返します。そして最後に1ページ当たり、0.5秒程度のスピードで1ページずつ、めくっていきます。見開きを1秒ずつ見ていく感じです。1冊分を1~2秒でめくる段階では、書かれている言葉はほとんど見えませんが、それでも「1文字でも多く認識してやる」という気持ちで取り組むことが重要です。また、最初のうちは本の中心部分が見えるほどには開けないことがあります。できるだけ、本の中心まで見えるように開くのが理想ですが、厳密に考えるよりも「高速で文字を見る」ほうを優先してください。はじめは何が書かれているかわからなくても、繰り返しているうちにだんだん認識できるようになっていきます。