10人中、8人が辞めたいと言ってきた

ある日、知り合いの経営者の方から連絡がありました。

「濱田さん、大変なことになっているんです。社員がそろって辞めます! 辞表を出します! と言ってきているんです」

大変動揺した様子でこうおっしゃいました。

「頼りにしていた企画部のブレーンも辞めますと言って辞表を持ってきている状況で、濱田さんになんとかこの状況を回避できるようにサポートしてほしいんです」

と懇願されました。そこで半年契約でコンサルをお引き受けすることにしました。

社員がそろって辞表を出すって、どういう状況⁉ と思いますよね。

その会社は社長と社員10人ほどの会社だったのですが、10人中、8人が辞めたいと言ってきたそうです。

一人一人と個別面談をしていくうちに、なぜ、みんなが辞めたいと思うようになったのか、見えてきました。

「机の上に置いてあるゴミ」が大問題に

最初の事件は、会社の机の上に置いてあるゴミでした。

写真=iStock.com/SilviaJansen
「机の上に置いてあるゴミ」が大問題に(※写真はイメージです)

前日、残業したときに食べたもののゴミを誰かが捨てずに帰り、次の日の朝、そのゴミが机の上にいつも残っている状態が続いたそうです。

普通なら、「あぁ、誰かが捨てるのを忘れたんだな」と、気づいた人が捨てて終わり、ですよね。

この会社では最初のうちは、朝ゴミを見つけた人が「残業の際に出たゴミは机の上に残さず、捨てて帰ってください」と口頭で呼びかけていたそうですが、ゴミの量が少し減ったものの、相変わらず朝出社すると、机の上にゴミがある状況は続いていました。

そのうち、少しずつ事態は大きくなっていきました。張り紙をするべきか否かの議論になり、一体誰がゴミを捨てているのかと、犯人探しが始まったのです。